成田エクスプレス

15日のブログで京成スカイライナーについて触れたが今回はJR東日本の「成田エクスプレス」について紹介する。
元来、東京駅〜成田空港駅間を成田新幹線で約30分で結ぶ計画があったが沿線住民の反対や国鉄の経営悪化のため頓挫してしまった。
1978年から京成電鉄がスカイライナーの運転が開始されたが当時の成田空港駅(現在の東成田駅)からバスで空港ターミナルまで結んでいたが利便性の悪さから空港ターミナル直下への乗り入れが待望されていた。
建設が頓挫した成田新幹線の建設予定地を利用し、成田空港駅を空港第1ターミナルビルの地下へ移転した1991年3月からJR東日本の特急成田エクスプレスがデビューした。
初代の使用車両は「253系

が登場、当時は3両編成を2編成つなげたグリーン車を含む6両編成で運転していたがあまりの人気ぶりに「指定席が取れない」というお客様の声もあり1992年から中間車3両を増備し6両固定編成と3両編成となり、9両と12両編成が組めるようになった。
塗装はホワイト(北極の大地)の車体にレッド(地平線に輝く太陽)とブラック(宇宙)とグレー(成層圏の空)で構成されている。
253系の大きな売りはグリーン車だろう。ヨーロッパ方式のお見合い座席の普通車に対しグリーン車は一人掛け座席を採用、リクライニングシートも在来車よりも倒れる角度を大きくし、座席を窓側に斜めにフリーストップ式となった。また、グリーン個室も運転席後に設けられた。
もう一つの売りはフリードリンクとしてビールやソフトドリンクなどがあるミニバーがグリーン車利用者に提供されたが普通車利用者が相次いで不正に持ち出すためミニバーは廃止された。253系の内外装、車内サービスなどが評価され鉄道友の会ローレル賞、国際的権威のあるブルネル賞を受賞している。
成田エクスプレス成田空港駅〜東京駅へと結び、山手貨物線湘南新宿ライン)を経由して新宿駅池袋駅間と横須賀線を経由して神奈川県の横浜駅間を結んでいたが好評により湘南新宿ラインを北上して埼玉県の大宮駅、横須賀線を南下して大船駅、さらに新宿駅から中央本線を経由して高尾駅まで一部の列車が延伸された。
安泰だった成田エクスプレスにも転機が訪れた。2009年に二代目である「E259系

が登場、今度は6両固定編成のみで構成され6両と12両編成が組めるようになった。
塗装は基本的に253系にグレーの塗装は省略されたが基本的に253系とほぼ同様である。
前頭部は高運転台となったが貫通扉が設けられ、これまで通りの分割・併合運転が可能である。
内装は253系で採用されたお見合い式座席とグリーン個室は廃止となりE259系では普通車・グリーン車ともに「2&2シート」の回転式リクライニングシートが採用され、普通車の座席は列車のシンボルカラーである赤と黒の布張りであるがグリーン車は本皮張りとなった。
翌年7月から成田エクスプレスは全列車E259系となった。ところがその月に京成電鉄がスカイライナーに新AE形を導入するとともに京成成田空港線成田スカイアクセス)経由となり日暮里駅〜成田空港駅間が最短38分で結ばれるようになった。
京成電鉄はスピードが自慢であるがJR東日本は車両の快適さと神奈川県と埼玉県と東京都西部からへのアクセス重視で運転するという。ただ、成田エクスプレスは多少所要時間がかかるが…。
成田エクスプレスの運用を外れた253系の大半は廃車解体されたが、一部の編成は制御装置の更新、車内座席の交換、塗装がオレンジ色などを基調とした東武カラーへの変更などの改造を受けた「253系1000番台」

が登場、東武日光線直通の特急日光(新宿駅東武日光駅間)と特急きぬがわ(新宿駅鬼怒川温泉駅間)で運転されるようになった。
また、長野電鉄では2100系と改められ特急(長野駅湯田中駅間)などで運転され、車体の風貌が猿に似ていることから一般公募により「スノーモンキー」と命名された。つい最近、スノーモンキーは新塗装になったという。
捨てる神あれば拾う神もいるのれす♪